時計のコラム
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石崎時計店 第19号
スイスの時計博物館へ行ってみよう (2)
ウォッチメーカーコース学科長  石崎 文夫

前回はジュネーブ、ル サンティエの時計博物館でしたが、今回はもう一方の時計の生産基地、ラ ショード フォンとル ロックルを中心に紹介します。2つの町はともにジュラ山脈の裾野にあり、列車で10分、車でも15分くらいのとても近い距離にあります。これらの町には時計の組立工場やパーツメーカー、工具メーカーなど時計産業をささえる会社が数多くみられます。


●国際時計博物館

ラ ショード フォンの駅から徒歩5分ほどのところにあります(写真1)。この博物館は前身の創設が1902年ですから、100年以上に渡って近世の時計の流れを見てきたことになります。

所蔵品はウォッチ2700個、クロック700個、他を含めると4500個以上。著名な時計師の時計はもちろん、古いものから近年のものまで、世界最大の規模を誇り、その多くは寄贈されたものだそうです。

時計の模型も充実しており、脱進機など様々な箇所の動きもわかります(写真2)。針などパーツのコレクションを、こんなに数多く見ることができるのも、おそらくここだけでしょう(写真3)。 また、館内には修復工房が併設されており、作業風景を見ることも出来ます(写真4)。

この博物館のもう1つの魅力は、ミュージアムショップの充実です。日本では、高くて手に入りにくい書籍も置いてあります。その他のグッズもいろいろあり、楽しめますよ。

Musee international d'horlogerie
29,rue des Musees 2301, La Chaux-de-Fonds
Tel:41-32-967-6861 Fax:41-32-967-6869
http://www.mih.ch
開館日時:
6/1-9/30 火-日10:00-17:00,
10/1-5/31 火-日10:00-12:00 14:00-17:00


アルプス
写真1 入り口と1階フロアの様子

ジャンシャン
写真2 スイスレバー脱進機の模型

ジャンシャン
写真3 タイプごとに分けられた針の展示

ジャンシャン
写真4 ガラスで仕切られた修復工房を上から見たところ
クリエーション部門の部屋
写真5 建物外観

硬さを測定
写真6 3ゴールド・ブリッジ・ツールビヨンは1867年と1889年の2度にわたりパリ万博で金賞を受賞した
 
クリエーション部門の部屋
写真7 ラ ショード フォンはコルビジェの生まれ故郷で、この地にいくつもの設計した建物が残っている。このビラ・トゥルクもその1つ
●ビラ・マルガリータ(ジラールペルゴ・ミュージアム)
ラ ショード フォンの駅より高台の方へ20分ほど歩くと、近代の著名な建築家ルイ・コルビジェの設計した建物Villa Turqueビラ・トゥルク(現在はエベル社の迎賓館となっている)が見えてきます。

すぐその近くにあり、ビラ・マルガリータと呼ばれている1918年建造の瀟洒な美しい建物が、ジラールペルゴ社のプライベート時計博物館です(写真5)。

ここでは、ジラールペルゴの歴史的なピースを見ることが出来ます。中でも、3ブリッジトゥール・ビヨンは威厳を放っています(写真6)。このミュージアムは小さくて、予約制ですが、市内見学と一緒に訪れると良いと思います。(写真7)


VILLA MARGUERITE(MUSEE GIRARD-PERREGAUX)
Place Girardet 1, 2300 La Chaux-de Fonds
Tel:41-32-911-3333 Fax:41-32-913-0480
http://www.girard-perregaux.ch
開館日時:予約制
クリエーション部門の部屋
写真8 時計博物館前での記念写真

硬さを測定
写真9 ルイ15世、16世の時代のクロック
 
クリエーション部門の部屋
写真10 中央の老婆はぜんまいの力によって杖をつき、足を交互に滑らせて歩きだす

硬さを測定
写真11 この手鏡はトルコの王様の依頼でつくられた。取っ手の下を押すと、上の花びらが開いてハミングバードが飛び出し、羽をばたつかせてさえずる。このミュージアムのもっとも貴重なコレクションの1つで、パルミジャーニ氏が修復したもの。
 
●モン城時計博物館(ル ロックル時計博物館)
ル ロックルの駅より牧草地をぬけた丘の上に位置し、18世紀後期に建てられたとても雰囲気のある貴族の館(マナーハウス)が、モン城時計博物館です(写真8)。

歩いて行くにはちょっと距離があります。
ここの見どころは2つ。

1つめは、貴族の部屋を再現して飾られたクロック達です。宮廷文化が華やかさを増した17世紀、18世紀の雰囲気そのままに、時計はコンソールと呼ばれる台に載せられ、飾られています(写真9)。これらの時計には、時計師以外にも、木でボディーをつくるキャビネット職人をはじめ、べっ甲貼り、エナメルがけ、彫金など、様々な職人の技術が加わっているのを、見て取ることが出来ます。

もう1つの見どころはオートマタ(自動人形)のコレクションです(写真10、11)。動かしている様子は館内のビデオで見ることが出来ます。ここのオートマタ修復の多くは、修復士としても著名な、ミッシェル・パルミジャーニ氏の手によるものと聞いています。


Musee du D'Horlogerie du Chateau des Monts
Rte des Monts 65, 2400 Le Locle
Tel:41-32-931-1680 Fax:41-32-931-1670
http://www.mhl-monts.ch
開館日時:
5/1-10/31 火-日10:00-17:00,
11/1-4/30 火-日14:00-17:00

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