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第49号 「アンティークの舎利塔」

今回は、関西の骨董店で時折見かける舎利塔(しゃりとう)の話をしよう(写真1)。

舎利塔は正式には「仏舎利塔(ぶっしゃりとう)」と呼ばれ、お釈迦(しゃか)様の骨を収めた建築物としての塔を指す。別名「ストゥーパ」とも呼ばれ、円錐形をした大きな塔である。一番有名なのは世界遺産にも指定された、インドネシアの「ボロブドゥール寺院遺跡群」だ。

お釈迦様が亡くなって数百年後、中国の僧たちは宝石箱を持参しインドやタイのストゥーパへ供養に行き、それを持ち帰って自分の寺に納めた。やがてそれらはお釈迦様の骨と同様に扱われるようになった。日本ではその宝石箱を寺院の建物、特に五重塔の心礎(中央の大きな柱)の根本に埋める事が多かった。私は写真を見た事があるのだが、奈良興福寺にある五重塔の中心柱の下にも宝石箱が埋められていて、その中にはメノウの石や真珠が数多く入っていた。

そういった習慣が一般の家庭にも伝わり、仏教徒の信仰対象としてメノウやパールを入れた容器が祭られるようになった。それが写真の仏舎利塔だ。
次回はその中身について紹介しよう。

(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)


07/12/12

 

写真1
写真1

前列右から2・3・4番目が一般的で高さが約5センチ程度。 やや大きめの物(左1・2番目)や形がユニークな物(右端)もある。
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