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第70号 「サンクトペテルブルグの石」

今回お見せする写真は本校の98年海外研修中、ロシアのサンクト・ペテルブルグで購入したもので、すべて石英系の石です。

石英(英語ではquartz、クォーツ)は鉱物としては、もっとも一般的なもので、地球上の鉱物の25%を占めます。この石英(二酸化硅系、SiOz)がマグマの中からゆっくりと冷やされ、目に見える結晶(クリスタル)となると顕晶質とよばれ、白、紫(アメジスト)、黄(シトリン)、紅(ローズクォーツ)等の水晶になります。一つひとつの結晶が目に見えるわけではありませんがとても細かく結晶しているものを潜晶質または微晶質といいます。その代表例がメノウです(英語ではアゲート、他の外国語ではアガット(agate))。

たいてい灰色か白の半透明の石ですが、結晶する途中で他の鉱物を取り込んだりします。その一つが“こけ”メノウ(moss agate)(写真1)です。その外観から“こけ”メノウと呼ばれますが、こけが入っているわけではなく他の鉱物が入っているものです。この半透明度が進み、不透明になってしまった石英をジャスパーと呼びます(写真2)。 金魚鉢の中の赤や黄色の石もジャスパーです。石英が結晶しないでそのまま固まってしまったものを非結晶質とよび、窓のガラスと同じで別名天然ガラスとも呼ばれます。黒曜石(オプシディアン)がその代表です(写真3)。これにもまたいろいろな種類があります(スノーフレーク、シーン等)。

長くなりますが、私がこの石を買ったいきさつをお話します。
サンクトペテルブルグの穴蔵のような小さな店(でもエルミタージュの近くでした)でおばあさんが番をしていました。私がドルで払うというとおばあさんは「ドルは偽札が多いから信用ならない、銀行に行ってルーブルに換えてこい」といわれました。面倒でしたが、言われるままに両替してきて払いました。そうしたら3日後にルーブルが切下げとなり約半分くらいの価値になってしまいました。
結局おばあさんは半値で私に売ったことになってしまったのです。ドルで受け取っていればそんな事はなかったのに……といつまでも覚えている出来事です。

09/11/25



(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)

 

写真1
写真1

写真2
写真2

写真3
写真3 















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